空いた席に置かれるもの
今日は一日、小雨でした。出かける気にもならず、昼まで部屋で本を読んで、昼ごはんは家族そろって食べました。休みの日曜日に、父も祖父も母も家にいる食卓は、わりとのんびりしています。ただ、妹が春から家を出たので、食卓は一人ぶん広くなりました。
ふと気づいたのですが、うちの食卓は、席が決まっています。台所に近い側に母、その向かいに私、奥の窓際に祖父、入口に近い端に父。誰が決めたわけでもないのに、二十年近く変わっていません。妹の席だけが空いていて、そこに醤油さしや、読みかけの新聞が置かれるようになりました。席は、人がいなくなっても、しばらくは人の形をしているものだなあと、妙に感心してしまいました(笑)。
祖父は食べるのがゆっくりで、いつも最後まで箸を持っています。父は無口なので、食卓の会話はほとんど母が担当です。近所の誰々さんの家に孫が生まれたとか、梅雨に入ると洗濯物が乾かなくて困るとか。私は相づちを打ちながら、父の湯のみが空になっていないかを、横目で見ています。気づくと母に先を越されていることが多いです。
今日はうっかり、自分の席ではなく妹の席に座りかけて、「そこは違うでしょう」と母に笑われました。無意識のうちに、空いた場所を埋めたくなったのでしょう。座り直したら、いつもの景色に戻って、少し落ち着きました。席順というのは、案外、家の地図のようなものなのだなあと思いました。
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