ドレスの試着に、付き添いました
長女が、札幕から帰ってきました。秋の結婚式に着るドレスを、市内のお店で選ぶためです。私も付き添って、午後から二人で出かけました。外は霧雨でしたが、傘をささずに歩けるくらいの、やわらかい降り方でした。
何着か試して、最後に着たのは、白い袖のついたシンプルなものでした。カーテンが開いて、鏡の前に立った長女を見たとき、しばらく声が出ませんでした。小さいころ、運動会の前の日に、体操服にゼッケンを縫いつけた手を、ふと思い出しました。店の方に「いかがですか」と聞かれて、「いいですね」とだけ答えるのが、やっとでした。
長女は「お母さん、泣かないでよ」と笑っていましたが、そう言う本人の目も、少し赤かったようです。帰りの車の中では、招待状の話や、席次の話をしました。やることは、まだたくさんあるそうです。私にできることは少ないので、せめて、当日の朝の髪のことと、母の着物の手配だけは、引き受けることにしました。
夜、夫に今日のことを話すと、「そうか」と言ったきり、新聞を読み続けていました。でも、ページはずっと同じところのままでした。
家の中では、先週迎えたばかりの子猫のミケが、長女の脱いだカーディガンの上で丸くなっています。五ヶ月後には、この家から一人、いなくなる。そう思うと、胸のあたりが少しすうっとします。さびしいのは本当ですが、うれしいのも本当です。しばらくは、この両方を、ゆっくり味わっておくことにします。
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