朝だけずれる理由
忌引きで休んでいたので、今日が久しぶりの出勤だった。朝は雪かきを三十分。昼まで雪が降って、駐車場の端に、除けた雪がまた積もった。
会社の机には、休み中の書類が山になっていた。その中に、組立工程の治具の件があった。部品の位置がときどき数ミクロンずれて、検査ではじかれる。担当が三日かけて原因を探していた。
見に行った。ずれるのは、朝の一番だけだった。昼を過ぎると、ほとんど出ない。治具を取り付けた土台が、冷えて縮んでいるらしい。工場の隅は、朝がいちばん寒い。土台に触ってみれば分かる。温度計を当てると、午後より四度低かった。
対策は、始業前に暖房を入れておくことにした。設備を直すより、段取りを変える方が早い。若いころは、図面を引き直したくなった。いまは、まず手順を疑う。担当は、少し拍子抜けした顔をしていた。
帰りに、近所の北前商店街の入口で、灯油の値段の看板を見た。1500円。ストーブの減りが早い冬になりそうだ。家に着くと、母が割烹着で、夕飯を作って待っていた。二人分の味噌汁は、まだ量の加減が合わない。
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