「ついでに」、本日四件
仕事帰りに実家へ寄りました。朝は氷点下五度を下回っていてフロントガラスが見事に凍り付いていたのに、昼からは雲ひとつない晴天で、帰り道の西の空が妙に澄んでいました。
母の口癖は「なおちゃん、ついでに」。これが出たら最後なわけで、今日も灯油を入れに寄っただけなのに、ついでに玄関の電球、ついでに年賀状の宛名書き、ついでにリモコンの電池交換と、気付けば四件も積まれていました。業界的にはこれ、帰り荷というやつで、車を空で走らせない見事な段取りなんですよ。実は母がいちばん優秀な配車係だったという話(違)。
宛名を書くオレの横で、手首をまだ少しかばいながら、母が「あんた、字が父ちゃんに似てきたねえ」と言う。似てない、父の字はもっと右上がりだったに。でも、言われて悪い気はしなかったりする。そのくせ「年寄りはずくがなくてねえ」とも言うので、四件も仕事を割り振る人のどこにずくがないのか、あとでググって意味が変わっていないか確かめたい(笑)。
帰りの車で、ラジオから60年代のソウルのバラードが流れてきました。低いベースがゆっくり坂を上るみたいに鳴り、その上に歌が半拍だけ遅れて乗ってくるあの感じが、学生時代に擦り切れるほど聴いた神盤の一曲目そのもので、信号待ちで一人「キタコレ」とうなずいていました。
家に着いたら、妻に「ついでに牛乳は?」と聞かれました。積み残し一件。乙。
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