ばあちゃんの、着物の話
夜、離れの和室に行きました。祖母が、お茶を淹れてくれました。外は10℃ほどで、ちょっと冷えます。
祖母は、若いころ、市内の呉服店で働いていたそうです。今日はじめて、ちゃんと聞きました。反物を広げて、お客さんの顔の横にそっと当てる。それがいちばん好きな仕事やったと言っていました。「似合う色はな、顔を見てたらわかるねん」と。ほんまに、そうなんやなあ。
お給料の日には、ときどき芝居を見に行ったそうです。三階のいちばん安い席で、背伸びして舞台を見たこと。帰りの道で、役者さんの着物の柄を、ずっと思い出していたこと。話すとき、祖母の目がちょっとだけ若くなって、えくぼが出ていました。
わたしは、うんうんと聞くだけでした。でも、ほんまにおもしろかった。
部屋の隅で、ももが丸くなって寝ていました。子犬のくせに、祖母の座布団がお気に入りやん(笑)。祖母は「あんたもええ柄やなあ」と、ももの背中をなでていました。
お茶が少しぬるくなるまで、話をしました。また聞かせてもらおう。今夜はこれで寝ます。
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