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こすず

配信の「船徳」と、手すりのない夜

· カテゴリ: 趣味・おでかけ

寄席の休みが続いていて、先週予定していた落語会も、主催者から中止の連絡が届きました。仕方がないので、このところ夜は配信で聴くことにしています。

昨夜は「船徳」でした。道楽が過ぎて勘当された若旦那が船頭になり、炎天下の大川で客を乗せたものの、竿はふらつき、船は同じところをぐるぐる回るという噺です。聴きながら、わたしは現場の新人のことを思い出していました。初日に足場へ上がった若手が、手すりを握りしめたまま動けなくなったことがありました。誰にでも、はじめての日はあるものです。

ただ、配信には配信の良さがあって、巻き戻せるのですね。若旦那が「四万六千日、お暑い盛りでございます」と客を呼び込む件が気に入り、三度も聴き直してしまいました。生の高座ではこうはいきませんから、段取りと記録を大切にする身としては、うれしいような、惜しいような、複雑な便利さです。

娘は隣の部屋で絵を描いているらしく、ときどき笑い声だけが壁を抜けてきて、猫は膝に乗ったまま、船が揺れるたびに耳を動かしていました。五歳にして、もう噺の機微がわかるのでしょうか。外に出られず、近所の散歩ばかりの日々ですが、船頭をしているよりは、はるかに安全な暮らしです。ただ、船酔いだけは、畳の上にいても免れませんでした(笑)。

落語日記猫

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