短冊は書かなかった
昨日は七夕だった。朝から霧雨で、天の川どころか月も見えないまま、日が暮れた。
昼の現場の軒先に、笹飾りが出ていた。施主の家の子どもが書いたらしい短冊に、「かけっこが速くなりますように」とあった。字が大きくて、まっすぐだった。しばらく眺めてから、また手を動かした。
おれは短冊を書かなかった。書くなら走ることか星のことだが、どっちも願うほどのことじゃない。あとはやるだけだ。まぁ、いいか。
七夕の星は、こと座のベガとわし座のアルタイルで、ベガが織姫、アルタイルが彦星になる。この時期は夜の高いところに見えて、間を天の川が流れている。街の明かりが少ない沢見ヶ丘公園まで行けば、肉眼でも白い帯がうっすら見える。去年は見えたが、今年は梅雨が長引いて、まだ一度も見ていない。
夜は台所で味噌汁を温めながら窓の外を見た。雲が低くて、真っ暗だった。晩酌は一合。
今朝も霧雨の中を5km走った。足元がしゃっこい。雲の上には、ちゃんと天の川があるんだべ。そう思いながら、最後まで走った。
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