妹の結婚式で、父がいちばん静かだった
去年の五月、妹の結婚式がありました。今日は雪が降っていて、出かける予定もなかったので、ふと思い出して書いておきます。
式は、妹が引っ越した先の福洲市で、こぢんまりと行いました。ぼくは兄として、親族の席に座っていただけです。一応、乾杯のあとに一言、と頼まれていて、前の晩に原稿を三回書き直しました。結局、短く「おめでとう」と「体に気をつけて」だけになりました(笑)。理屈っぽく順に整理しすぎると、かえって長くなるんですよね。
式の間、いちばん静かだったのは父です。もともと無口な人ですが、この日はほとんど口を開かず、背筋を伸ばして、ただ前を見ていました。母は逆で、最初から最後までよく笑って、途中で少し泣いていました。父は、花嫁の手紙のところでも、表情が変わらなかったです。ただ、帰りの車で、ぽつりと「いい式だったな」と言いました。それだけで、なるほど、と思いました。
妹が実家からいなくなって、もう九か月ほどです。ぼくは相変わらず一人暮らしで、結婚を急ぐつもりもありません。あの日の父の横顔は、たぶんしばらく忘れないと思います。まあ、また今度。
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