父の枕元で読む、二十年前のマンガ
夜、父が寝たあとに、本棚から古い少女マンガを一冊だけ持ってきて読んだ。高校のころに買ったもので、表紙の端が日に焼けている。
外は小雨で、窓の向こうがぼんやり暗かった。ページをめくる音が、やけに大きく聞こえる。父は軽いまひが残っているけど、寝息はおだやかだった。わたしは廊下の明かりだけで、眼鏡をかけて読んだ。
お話には、病気の母親と暮らす女の子が出てくる。昔は「かわいそうな子だな」としか思わなかったけん、今読むと台所の場面ばかり目に入る。おかゆを作って、冷めないようにふたをして、学校へ行く。だんだん、そういう細かいところが刺さるようになった。まあね、年をとったということだわね。
仕事では人の世話をしているのに、家で父のことになると、手の動かし方からして違う。母と交代で見ているから、読める時間は三十分もない。それでも、一冊読み終わると、肩の力が少し抜けた。
本棚の九百冊は、平成にも令和にもまたがって並ぶんだなと、ふと思った(笑)。次は、続きの二巻を持ってこようかな。
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