無観客の試合を、居間で見る
今シーズンの開幕を待つあいだに、去年の無観客試合の配信を見返した。外は雪で、足元にはストーブ。条件としては悪くない。
ただ、見返して気づいたことがある。選手の声が、よく聞こえるんだな。「寄せろ」「ウラ、ウラ」。スタジアムでは歓声に埋もれて、まず届かない声だ。ボールを蹴る音も、やけに乾いて響く。観る側からすれば妙な特典で、現場の人たちには、たぶん居心地の悪い静けさだったでしょう。(もちろん、本音を言えば客席で見たい)
北森神社の近くにある食堂では、試合の日に店のテレビで流してくれていた。そこで見ていた常連の顔ぶれが、いまは消えた。外食を控えているのは、おれも同じだけど。みんな家で、それぞれの画面を見ているわけで。同じ試合を見ているはずなのに、誰とも話さない。
膝にのせた編みかけのマフラーは、前半だけで二段しか進まなかった。配信の見すぎだな。案の定、後半は手が止まって、画面ばかり見ていた。
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