4月から人が増える
4月から、網組に若手が入るらしい。20代の男性だと、組長から聞いたのは先週の片づけのときだ。
自分が組に入ったのは30歳のときで、それ以来ずっと、組の中では一番下の扱いだった。つまり、45歳にしてようやく下の席が空くことになる。ありがたい話ではあるが、長く座った席に誰かが来る感覚は、思ったより落ち着かない。
網組は6人で、船は3隻。人が増えれば手船の配置も変わるし、たぶん自分は教える側に回る。理由は、父が船を退いたいま、網の癖を体で知っている世代が組の中で薄くなっているからだ。網の重さは引いてみないと分からず、言葉にすると「重い」の一語で終わってしまう。
教えることを、順番に並べてみた。まず長靴の履き方、次にロープの置き場所、最後に群れを見る目で、これは自分でもまだ怪しい。祖母なら「見て覚えるもんだ」と言っただろうし、祖父は無言で手本だけを見せる人だった。その方式なら自分にもできるはずだ。口数が少ないのは、こういうときに役に立つらしい。
昨夜、犬のごまに話してみた。耳がぴくりと動いただけだった。まあ、反応としては十分だ。
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