霧雨の朝、網を上げたのは5時40分
朝4時に出港した。水温は14℃で、霧雨のせいか港を出るときに合羽の肩がすぐ湿った。
群れは思ったより遠く、探知船の合図が来たのは5時前だった。網を入れて上げたのは5時40分だが、入りは少なかった。理由は、たぶん潮が速すぎて、群れが固まる前に流れで引き延ばされたからだ。網のロープがいつもより手に食い込んだのは、引きが重かったせいかもしれない。
12月は、いわしの季節の端にあたる。夏のようには獲れないので、父は陸から「今日は無理だろう」と言っていた。当たっていた。経験というのは、つまり数字にならない記録のことで、自分はまだ、その帳面が薄い。
帰りに八幡さまの前を通って、鳥居の下で手袋をしたまま一礼した。手のひびが霧雨でしみた。水揚げは少なくても、手荒れは正確に増える(笑)。
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