墓の前で、線香が風に流れた
敬老の日で連休の真ん中やったから、朝のうちに家族みんなで墓参りに行ってきた。お彼岸には少し早いけど、全員の休みが合うのは今日くらいやったから、先に済ませてしまおうという話になった。
父が亡くなって、もうすぐ一年になる。墓の前に立つのは、まだ慣れへん。長女は小学一年やのに、水を替えて花を挿すところまで、ちゃんと自分でやってくれた。長男は柄杓を持ったまま、しばらくぼんやり石を見てた。何を考えてたんかは、聞かんかった。
線香に火をつけたら、くもりの空の下で風にすぐ流された。母は小さい声で「お父さん、みんな来たで」と言うてて、手を合わせる背中が、ちょっと小さく見えた。母がひとり暮らしになって、そろそろ一年になる。帰りに実家へ寄って、お茶だけ飲んで、マスクを外して話せるのは家族だけやなと、ぼんやり思ってた。
墓石の角に、苔が少し出てたのが気になった。今度来るときはブラシを持ってこよう。道具の手入れは、こういうところでも一緒やん。夕方は、ぼちぼち走った。膝は、まあまあ静かやった。
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