実家の二階から、低い山を見ていました
帰省中の実家の二階から、地元の山をしばらく眺めていました。結論から言うと、低山を歩くようになってから、同じ山がまったく別のものに見えます。
理由は二つあります。一つ目は、尾根の形が読めるようになったこと。子どものころは、ただの「裏の山」でした。いまは、あの緩い肩のあたりに道がありそうだ、とか、あそこで一度登りが止まるはずだ、とか、勝手に地図を引いてしまいます(標高は、たぶん500mに届かない程度です)。二つ目は、冬の山の色。葉の落ちた斜面は灰色と茶色ばかりで、要するに地味なのですが、光の当たり方で意外なほど表情が変わるんですよ。今日はくもりでしたが、午後だけ薄く日が差して、尾根の上だけが明るくなりました。
父に「あの山、歩けるんかな」と聞いてみたら、「ほう」と言って、しばらくして古い地図を出してきました。鉛筆の書き込みが入っていて、どうやら若いころに仕事で何度か入ったことがあるようです。口数は少ないままでしたが、地図の上で指を動かす時間は、いつもより長かったと思います。離れの祖母は、窓から僕が山の方を見ているのに気づいたらしく、お茶を持ってきてくれました。
夜、寒さで目が冴えて、もう一度カーテンを開けました。山は黒い影になっていて、輪郭だけが空より少し濃い。大学に戻る前に、一度ここを歩けたらいいなと思っています。本を一冊持っていくか、手ぶらで行くか。そこだけは、まだ決まっていません。
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