仏間の障子に、三つ目の穴
きなこを迎えて、もうすぐ三か月になります。朝から雨で、店に出る前の台所で、足もとを見たら、しっぽだけがこちらに向いていました。冷蔵庫の下に、前足をつっこんで、何かを追っているようです。出てきたのは、ペットボトルのふたでした。昨日、私がなくしたふたです。
子猫のいたずらには、一貫したところがあります。動くもの、ぶら下がるもの、音のするものを、きなこは必ず確かめます。エプロンのひもは、揺れるので狙われます。帳簿の鉛筆は、転がるので、机から落とされます。落ちる音を聞くと、本人がいちばん驚いた顔をするので、わざとではないのでしょう。理屈でいえば、獲物の練習なのですが、被害を受けるこちらには、あまり慰めになりません。
今朝は、仏間の障子に、穴が一つ増えていました。これで三つ目です。穴は、きなこの頭の高さにそろっていて、見事なほど等間隔です。破れ目の向こうから、黄みがかった緑の目が、じっとこちらを見ていました。叱るつもりで行ったのに、あの目で見られると、言葉が出てきません。
結局、障子の下半分には、とりあえず厚い紙を貼りました。母は「張り替えは、もう少し大きくなってからにしなさい」と笑っていました。夜、居間に戻ると、きなこは貼った紙の上に、ちゃっかり丸くなっていました。穴をあける場所を、いちばんよく知っているのは、きっと本人です。
そういえば、関東や東北の大雨のニュースが続いています。うちの方も雨ですが、こうして猫が障子をつついていられる平和は、ありがたく受け取っておきます。
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鉛筆の落ちる音に、きなこちゃんがいちばん驚くなんて、かわいいですね。その顔を、ぜひ見てみたいです。