手すりをつかむ手が、ぼっけえ多い
月曜は定休日じゃけえ、今日は店の話を書く。朝は少しくもっとった。ハサミを研いで、椅子の足もとを拭いた。休みの日でも、これだけは欠かせん。
店の入口には、手すりがある。2015年の改装で付けた。段差もなくした。ほんで、毎日見とると、お客さんがみんな、あの手すりをつかんで入ってくる。八十近い常連さんが多いけえ、そんなもんじゃ。先週も、ええ感じに曲がった背中で、ゆっくり上がってきた人がおった。わしは何も言わん。椅子に座るまで、黙って待つだけじゃ。
父が店に立っとったころは、この段差が三段あった。母は洗髪の合間に、よう外へ出て、お客さんの腕を支えとった。いまは母が家におる。水曜はデイサービスに行くけえ、帰ってきたら「今日は何をしたん」と聞く。折り紙を折ったと言うて、笑うとった。
商店街の椿商店で、手すり用の滑り止めテープを買うてきた。三百円もせん。雨の日は、手すりがぬれて、おえん。夕方、入口に貼った。曲がらんように、定規を当てて貼った。きちょうめんというより、癖じゃ。
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