一福の湯気を、あと何回見られるか
木曜は店があるけえ、朝は早うから掃除とハサミの手入れじゃ。霧雨で、蒸し暑かった。まあ、33度もあれば、そんなもんじゃ。
昼休みに、近所の中華そば屋の話を常連さんから聞いた。高校のころから通うとる一福が、そろそろ店を閉めるらしい。まだ本当かどうかは分からん。ほんでも、聞いた途端に、手が止まった。
思い出すのは、あの一杯じゃ。スープは鶏ガラ醤油で、あっさりしとるのに、飲んだあとに甘みが残る。麺は細めのちぢれで、ゆですぎんのがええ。具はチャーシューとねぎ、メンマ。それだけ。中華そばが六百円台で食えるんは、今どきありがたい話じゃ。わし、あの店の湯気を見ながら、何杯食うたか数えとらん。
母にその話をしたら、「あそこのおじさん、うちの父さんとも話しよったなあ」と言うた。そうじゃった。父も、たまに連れて行ってもろうたんじゃ。
次の休みは、月曜の朝イチで行く。ノートには、いつもどおり書く。スープ、麺、具の順で。ほんで、書き終わったら、ねぎでも畑から持って行こうか。迷惑かのう(笑)。
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