首がすわるまでの、ひと月ぶん
孫が生まれて、ひと月がたちました。霧のような雨が続いた今日は、店を閉めたあと、奥の居間で長女の背中ごしに、孫の顔をのぞいていました。
生まれたころは、抱くたびに首のあたりが気になって、腕がこわばっていたものです。この頃は、首に少し力が入ってきたのでしょう。仰向けに寝かせると、声のするほうへ、ゆっくり顔を向けますね。母は目を細くして、「房子ばあちゃんですよ」と、自分で言っておりました。
家の中の音も、いつのまにか変わりました。夫は廊下を歩くとき、床板がきしまないように端を選んでいます。長男は夜勤明けの朝、無言で玄関の戸をそっと閉めます。ごまは、お気に入りの座布団を孫の布団のそばまで引きずってきて、そこで丸くなるようになりました。じっと見張っているつもりなのでしょうか。確信犯です(笑)。
夜中に泣き声が聞こえると、奥の増築のほうで、娘婿が先に起きる気配がします。長女が授乳をしているあいだ、湯冷ましを用意したり、おむつを替えたりしているようです。わたしは聞こえないふりをして、布団の中で、朝の支度の時刻を思うばかり。
朝いちばんに孫の機嫌がよいと、その日の店先の声まで、ほんのり明るくなる気がします。今日も、お客さまに「赤ちゃん、元気?」と聞かれて、「首が、少しすわってきました」と答えました。
小さな、
小さな、
一歩でした。
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