六月の花嫁ではなく、五月の
長女が結婚して、二か月がたちました。五月の式の日は、よく晴れていました。
今日は朝から雨です。お店の戸口に傘立てを出しながら、あの日の空の明るさを、そっと思い出していました。
式のあいだ、いちばん覚えているのは、娘婿の背中です。肩幅のある人が、緊張でまっすぐになっていて、挨拶の途中で一度だけ、言葉を探すように間をおきました。その間に、会場がしんとして、誰も急かしませんでした。待ってもらえる人なのだな、とわたしは見ていました。
長女は、小さいころから本ばかり読んでいて、自分の気持ちをあまり話す子ではありませんでした。
その長女が、娘婿の隣では、よく笑います。
ほんのり、
あかるい声で…
母としては、それがいちばんの贈り物でした。夫は式のあいだ口数が少なく、帰り道の車で「いい式だったな」と一言だけ言いました。それで十分でした。
先日、娘婿が遊びに来たときのことです。お店の棚の古い湯のみを手に取って、「これ、縁が少し欠けていますね。でも、持つと手になじみます」と言ってくれました。骨董の話にもつきあってくれる人ですね。うれしくなって、その湯のみでお茶を出しました。確信犯のように、ちょっと得意な顔をしていたかもしれません(笑)
秋から、家のことを少し考えはじめています。まだ形にはなっていませんが、また書きましょうか。
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