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うきぐさ

八十八夜に、急須のない部屋で

· カテゴリ: 季節・行事

五月一日。今日は八十八夜らしい。朝、出がけにカレンダーの小さな字を見つけて、立春から数えて八十八日目、茶摘みの頃だと知った。

朝は晴れていて、上着は薄手で足りた。通勤の途中でのぼりを立てた茶屋の前を通り、「新茶入荷」の字に足が止まったけれど、まだ開店前だった。そうか、と思って、そのまま駅まで歩いた。

仕事は工務店まわりで、一日じゅう車と玄関先を行ったり来たりした。昼は缶コーヒーで、お茶は飲まなかった。帰りに近所のスーパーへ寄ると、新茶の袋が棚のはしに並んでいて、百グラムで七百円ほど。消費税が上がってから、値札を二度見する癖がついた。棚の前で三分ほど迷って、結局は買わなかった。とにかく今月は節約だぞ、自分。

引っ越して一か月、部屋にはまだ急須がない。ひとまずティーバッグの緑茶を湯のみに落として、窓を少しだけ開けた。夜風がひんやりして、湯気がゆっくり横にゆれた。

一句。

八十八夜湯のみひとつの部屋にいる

よし、週末に急須を探しに行くか。やるか。

行事お茶日常

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