母の庭のミニトマト
夜勤明けの昼まで寝て、起きてから実家に寄った。霧雨でも、母は庭に出ていた。ミニトマトの鉢に、支柱を足しとるところ。父が毎年やっていた仕事たい。
「お父さんのやり方、見よったけん」と母は言う。結び目が、父のとそっくりで、ちょっと笑ってしまった。わたしは黙って、ひもを持つ係。
実家には、ほぼ毎日、誰かが顔を出す。長女は学校帰りに寄って、麦茶を飲んで帰る。長男は犬を連れて、庭をひとまわり。夫は仕事の帰りに、回覧板を持ってくる。全然ふつうの顔をして来るばってん、みんな母の様子を見に来よる。母もたぶん、わかっとる。
台所の隅に、父の湯のみがそのまま置いてあった。触らんことにしとる。母が片づけたくなったら、そのときでよか。
ミニトマトは、まだ青い。赤くなったら、ひとつずつ分けてもらう約束をした。まぁ、そんなもんたい。
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