積み木をひとつ握って
日曜の朝は早くに起きて、妻と二人で長女のところへ行ってきました。新幹線を降りてから、乗り換えてもうひと駅だけ乗って、昼前には着いたずら。
孫は二歳になって、ちゃんと走る。玄関を開けたとたんに、一目散に奥へ逃げていった。まあ、人見知りだに。しばらくは妻の後ろに隠れて、こっちをじっと見とった。
わしは手みやげに、工房の端材で作った積み木を持っていった。三角と四角と半円で、全部で十二個ある。口に入れてもいかんから、角はみんな紙やすりで丸めて、何度も手でなでて確かめておいた。ここを急ぐと、あとで困るもんだ。
箱を床に置いたら、孫がそろそろ寄ってきて、ひとつ積んでは倒して笑う。ふふ、それをもう十回はやったずら。わしは何も言わずに横で見とって、手を動かしてみりゃ分かる、と思っとった。
帰りぎわになっても、孫は半円をひとつ握ったまま離さなかった。長女が「持たせてやって」と言うので、そのまま置いてきた。帰りの電車で妻が写メを見せてくれたが、わしの背中と、積み木と、孫の小さい手が写っとるだけだ。顔は、写っとらん。まあ、いい。
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