障子の桟を二十本
朝のうちに、障子の桟を削った。檜で、幅は四分、厚さは三分五厘だに。それを二十本、きっちりそろえる。
これは、近所の鍛冶屋さんのお向かいの家から頼まれた、古い縁側の障子でな。枠が長年のうちに少し狂っとるもんで、寸法表どおりにはいかん。昔はな、こういうのは枠に合わせて一枚ずつ組むもんだった。わしは先に枠を測って鉛筆で書きつけて、それから削る。この順番を守らんと、あとで必ず泣くことになる。
弟子が横でかんなをかけていたが、刃を出しすぎて、どうも削り肌が荒れとる。薄く、薄くだに。紙一枚ぶんの気持ちで引くと、屑がリボンのようにすうっと出てくる。口で言うより早いと思って、手を動かしてみりゃ分かる、と言うて、わしが一本削って見せた。弟子は黙ってうなずいとった。
昼前に霧雨が降ってきて、木が湿ってしまった。湿ると桟はほんの少し膨らむから、組むのは明日にした。急ぐと、いかん。
作業場の隅では、クロが削り屑の山の上で丸くなっとる。あの屑の山が、どうも気に入りの寝床らしくて、掃除しようとするたびに目を細めてこっちを見るもんだから、どうにも掃けん。ふふ、片付けは明日にするずら。
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