夫が黙って三十分
朝から霧雨で、庭の梅の枝にメジロが二羽、濡れたまま花をつついていました。夕方には日が差して、一日で空が三回くらい変わった月曜でしたね。
夕飯のあと、夫がテレビも見ずに、ずっと座っていました。三十分ほど。わたしも黙って洗い物をして、お茶を出して、まあ、いつものことです。そのうち夫がぼそっと「あの子、抱っこするとき、首が心配だな」と言いました。初孫のことでした。
長女のところの男の子は、もうすぐ一歳。去年の暮れに会ったきりで、夫は写真を見るたびに、口の端だけ上げています。「首はもう据わってるっぺ」と言うと、「そうか」とだけ。それでまた黙ってしまいました。
夫は来年の三月で定年です。そうしたら孫に会いに行く回数も、少し増やせるかな。そんな話を、お茶を飲みながら、ぽつりぽつりとしました。会社を辞める日のことを、夫が自分から口にしたのは、たぶん初めてでした。ふふ。
さて、明日も早いので、今日はこのへんで。
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