実家の夕飯は、八時に終わる
就職して最初の週が終わりました。実家を出てアパートで一人暮らしを始めたものの、今日は仕事のあとに実家へ寄って、夕飯を食べてきました。荷物の残りを取りに行く、という名目です。
母は、玄関を開けた瞬間から話している。仕事は慣れたか、腰は大丈夫か、ちゃんと寝ているか。質問が三つ同時に来るので、答える順番を選ぶのに一応、頭を使う。父は居間でテレビを見たまま、「おう」とだけ言った。案の定、これで挨拶は完了だな。誰も驚いていない。
妹は来月から大学で、荷造りの段ボールが廊下に並んでいた。(おれの部屋だった場所にも、なぜか一箱ある)。四年前のおれも同じ景色を作っていたはずで、家族の側から見ると、出ていく人間は毎回同じことをしているわけです。
帰りがけ、父が玄関まで出てきて、「夜勤は、体に気をつけろ」と言った。夜勤はまだ始まっていない。たぶん、どこかで聞いてきた単語を使いたかっただけでしょう。まあ、ありがたく受け取っておきました。
外はくもりで、北森さまの前を通ると、桜はまだ固いつぼみだった。来週あたりか。アパートに着くと、母が持たせた煮物のタッパーが助手席で倒れていなかったので、それだけで今日は上出来です。
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