運転席から見た、いつもの海
免許を取って半年ちょっと。今日は快晴で、風もおだやかだったので、朝から家の車を借りて海沿いの道を走ってきた。
最初に一人で運転した日のことは、いまでもよく覚えている。ハンドルを握る手がじっとり汗ばんで、ミラーを何回も見直した。助手席の父は黙ったままで、でも信号で止まるたびに、ほんの少しだけ口の端が上がっていた。無口な人の「大丈夫」は、あのくらいの表情なんだと思う。
今日はそのときとは全然ちがって、ラジオを流しながら、ゆるいカーブをいくつも抜けた。助手席から見ていた海と、運転席から見る海は、同じなのに別の景色みたいだ。窓を少し開けたら、2月の空気が冷たくて気持ちよかった。堤防の横の駐車スペースに止めて、缶のコーヒーを一本。自販機の、あったかいほうを選んだ。
帰りの道で、前を走る軽トラの運転手さんが、ハンドルを切るたびに白髪まじりの短髪を手でなでていた。そういう仕草をつい見てしまうのは、もう職業病みたいなものかもしれない。車間距離はちゃんと取りました。
ガソリンを入れようとしたら、メーターの針がだいぶ下がっていた。次はもう少し遠くまで行ってみたい。山のほうの道も、雪が解けたら走ってみようと思っている。
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