空いたままの席に麦茶
今日は明け番で、昼まで寝て、起きたら台所で母が煮物の鍋を見とった。外は一日中霧雨で、蒸し暑さだけがずっと残っとる感じやったなぁ。
夕方に父が帰ってきて、みんなで食卓につくんですが、弟が家を出てからテーブルの席がひとつ空いたままです。母はいまだに無意識に四人分の麦茶を出してしまうので、余った一杯をわたしが飲むのがいつの間にか決まりになっとる。ほんでな、まぁええかって思いながら、氷の溶けかけたコップを空けてしもた。
父は無口なまま、テレビの野球を見ながら黙々とごはんを食べとって、節電で居間の電気も半分しかつけてないから、薄暗い中に箸の音だけが聞こえる。それがちょっとだけ落ち着くのは、子どものころからこの食卓の音を聞いて育ったからやろか。
晩酌になると父がぽつぽつ工場の暑さの話を始めて、わたしも明日は休みなので、冷蔵庫の奥に残しといた純米酒をちょっとだけ付き合いで開けた。冷たいのが喉にしみて、これは神やなぁと思った。
寝る前に携帯を見たら弟からメールが来ていて、「元気?」と一行だけだった。「元気。麦茶、余っとる」と返したけど、あの子が帰ってきたら、あの席はまた埋まるんやろか。
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