祖父の湯たんぽ、なでる意味は不明
いや、これは語らせてほしいんですが、うちの祖父の湯たんぽの扱い。本当にていねいなんですよ、これが。
朝、台所でやかんの湯をわかして、まず祖母の分。次に自分の分。布の袋は、いつも同じ茶色の、端がほつれたやつ。口を閉める前に、栓のゴムを指で一回なでる。(小声)なでる意味は、聞いたことがない。今朝は最低気温が2.7℃で、祖父は作業帽のまま、湯気の中で黙々と。そもそも、あの手つきを見ていると、湯たんぽというより何か古い道具の手入れで、それだけで朝が一個終わるわけです。
ちなみに、兄は今、受験の追い込み。2階の部屋から夜中まで電気がもれていて、廊下を通るときは、わたしもなるべく足音を立てないようにしている。祖母は夜になると「お茶を持っていきよ」と言う。で、わたしが運ぶ。兄の返事は「おう」だけ。ただ、昨日は湯たんぽが一個、兄の机の下に置いてあった。祖父が、何も言わずに渡したらしい。全然ありがたい話だと思っています。兄に言ったら「べつに」と返ってきそうではあるんですが、、足元は、ちゃんとあたたかそうでした。
帰り道、坂の上の石段の前を通ったら、祖母が前に言っていた「兄の合格祈願に行こうかね」を思い出して……。本人は行く気ゼロ。祖母は行く気まんまん。そのうち、わたしが付き添い役になる予感。……という話でした。受験生より、周りのほうが忙しい家です。
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