砥石を水に沈めて十分
今朝はわりと冷えて、ベランダの温度計は十度を切っていたようだ。走るのは明日にまわして、朝のうちに包丁を研いだ。
砥石は千番と六千番の二つがあって、まず千番のほうを水に沈めて十分ほど待つ。泡が出なくなるのが、使える目安である。というのも、乾いたままの砥石は研いでいる最中に水を吸って、刃の下で引っかかるからだ。角度はだいたい十五度で、十円玉を二枚背の下に挟むくらいだと、割烹のころに大将に教わった。いまは挟まなくても、手が一応覚えている。
研いだのは、出刃と三徳とペティナイフの三本。出刃は割烹に入ったころに買ったもので、もう三十年をこえた。刃の幅が買ったときより五ミリほど細くなっているのは、要するに、それだけ研いだということである。
途中で娘が起きてきて、ソフトボールの練習に出かけていった。出がけに、包丁が切れないよと言われたが、その三徳はゆうべ娘がかぼちゃを切るのに使ったものだ。かぼちゃは硬いので、理屈で言えば、切れなくなったのは包丁のせいだけではない。まあ、黙って研いだ。
最後に新聞紙を一枚持って、刃をすっと引いてみる。音もなく切れていけば、悪くない仕上がりである。砥石を陰干ししてなおしたら、台所が少し広く見えた。
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