一本の傘に入った帰り道
今日は水曜やけど、会社の都合で現場が一日空いて、急に休みになった。朝は霧雨が降ってたから走るのは諦めて、家でぼちぼち道具の手入れをしてた。鉋の刃を研いで台の調整までやって、こういう時間はほんま嫌いやないな、と思う。
昼前に彼女からメールが来て、「ひま?」とだけ書いてあった。向こうも学校帰りに時間があるらしくて、駅前で待ち合わせて本屋をぶらぶらした。彼女は雑誌の棚、俺は建築の本の棚で立ち読みしてたら、気づいたら一時間もたってて、「また難しい顔してる」と言われた。そんな顔してたんかな。
帰りは雨が細かくなってきて、傘は俺のが一本だけやった。霧雨やから濡れてもええやん、と言うたら、彼女がするっと入ってきて、肩が半分ずつ濡れるくらいの距離で歩いた。歩くのがいつもよりゆっくりになって、駅から家の方までわざと遠回りしてしまったわ。
別れ際に、見習いの給料やとまだ大したとこには連れていかれへんなあ、と言うたら、「ええよ、歩くだけで」と返された。ほんま、助かるわ笑。次の休みに天気がよかったら、一緒に少し走ろうかと誘ってみたけど、返事はまだ来てない。
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