主任の名札は、まだ重い
主任になって5か月。肩書きが変わっても、机も席もそのままだし、基板の図面を引く毎日も変わらない。変わったのは、レビューの時間が増えたことくらい。
今日は後輩の図面を見る日だった。線の引き方、部品の置き方、ざっと見て、直してほしいところに付箋を貼る。自分で直したほうが早いのは分かってる。分かってるけど、それをやったら主任の意味がない。ぐっと我慢して、口で説明した。これが案の定、時間がかかる。
説明しながら思ったのは、昔の自分も、こうやって先輩に見てもらってたんだよなあ、ということ。当時の先輩は年上の男性ばかりで、言い方がけっこう雑だった。わたしはなるべく、理由まで言うようにしている。一応ね。
数字に細かいのは、わたしの数少ない取り柄だと思う。寸法の桁をひとつ間違えた図面は、さすがに見逃さない。今日もひとつ見つけた。後輩は「うわ」という顔をしていたけど、出図の前でよかったでしょ、そりゃ。
帰りの車の中で、責任が少し増えるって、こういうことなんだなあと思った。重いけど、まあ、いっか。霧雨のなか、家に着いたら猫が玄関で待っていた。
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